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第二言語学習者同士の比較〜外国語学習に有利なのは子供?大人?〜

 外国語学習を始めると耳にする第一言語(母語)学習と二言語(多くの場合外国語)学習。第一言語学習の場合、学習者はまだ一つも言語を獲得しておらず、ほぼその全てが年少の子供です。加えて、特別な事情がない限り、第一言語の獲得に成功します。対して、第二言語学習者は、子供でも大人でも、既に少なくとも一つの言語を獲得しています。しかし、第二言語学習者には第二言語の獲得に成功する人と失敗する人がいます。もっとも、「第二言語学習では年少者の方が年長者よりも有利だ」などと言われますが、本当なのでしょうか。

※本記事では年少の学習者を子供、年長の学習者を大人と記します。



子供の方が外国語学習に有利?

 第二言語学習をする子供と大人の違いとして学習者の年齢や学習環境、学習に充てられる時間等を挙げることができます。特に、子供の学習者においては第二言語学習を始めてから話し始めるまでに十分な時間をとることができます。彼らは学習初期の段階において、大量の言語情報のインプットを行い、脳内でインプットされた言語情報の処理が行われ、最終的にそれを用いて話し始めるのです。しかし、これらの過程にはそれなりの時間が必要であると言われています。それに対して、大人の場合は子供の学習者に比べて第二言語に触れる時間を多く取れなかったり、それにも関わらず教室や社会生活において第二言語を初期の段階から使用する必要に迫られる場面が多い傾向にあったりします。そのため、第二言語学習に対する負担が大きいのです。これが、子供の学習者が大人の学習者よりも第二言語学習において有利と言われる理由の一つです。



大人の学習者にも有利な面はある

 大人の学習者にも第二言語学習において有利な点はあります。「話すこと」や「話し方」、「使い方」といった言語に関する意識のことをメタ言語意識といいます。この意識が子供の学習者にに比べて大人の学習者は発達しているのです。それにより、第二言語における文法の解釈が早いことや、母語や既に獲得している第二言語と学習中の比較習中の第二言語を比較して学習中の言語に対する理解を深めることができるのです。メタ言語意識を用いて第二言語学習を有意に進めていくことができる点においては大人の学習者は子供の学習者より優れている点と言えます。



現状を理解して学習を進めよう

 第二言語の学習は何歳になっても不可能ということはありません。しかし、学習者の年齢や学習環境、学習に充てられる時間において違いがあります。あなた自身が、自分の状況を理解した上で最適な学習を進めていけば、新たな第二言語の獲得はきっと成功するはずです。



参考資料

Lightbown, P.M. and Spada, N. (2013). How Languages are Learned: 4th ed. Oxford University Press

学生時代は英語が一番の苦手教科だったにも関わらず、とある出来事がきっかけとなり言語の魅力に取り憑かれる。現在は、子供から大人まで言語の指導にあたりつつ、自身も数カ国語を学ぶ日々を過ごす。